このリストを見れば、船長・乗組員による貨物管理に落ち度がないことを完全に立証するためにどのような証拠を集めておくべきかが分かります。
船内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗原検査実施について多くの質問が寄せられていますが、抗原検査はどのくらい正確なのでしょうか。また、運航会社は自社の運航船に抗原検査キットを配布してもよいものなのでしょうか。そこで今回は、抗原検査を船内の感染拡大防止戦略に取り入れるにあたって知っておくべきいくつかの基本原則について、Ingrid H. Johansen博士に概説していただきます。
こちらは、英文記事「Discharging soyabeans in China」(2021年3月18日付)の和訳です。
2021年2月19日、英国最高裁判所は、約50年ぶりに英国最高裁判所まで争われた衝突事件(The “EVER SMART” and The “ALEXANDRA 1” [2021] UKSC 6)に対して、判決を下しました。Stann Law事務所のFaz Peermohamed氏が、この事件に関して解説をします
船員を苦境に陥れている新型コロナウイルスが感染拡大の兆しを見せ始めるだいぶ以前に、GardのClaims ExecutiveであるOsmund Johnsenは、GardのメンバーであるKristian Gerhard Jebsen Skipsrederi(KGJS)社からの招待を受け、ラス・パルマスからアルヘシラスまでの補油航海の間SKS MOSEL号に乗船する機会に恵まれました。JohnsenがKGJS社のニュースレター向けにその体験を寄稿した文章を今回改めてご紹介いたします。このような機会をご提供くださったKGJS社およびSKS MOSEL号の乗組員の皆様に感謝申し上げると共に、近い将来再び乗船する機会が訪れることを願っております。
現在26歳のボイヤン・スラット氏は、まだティーンエイジャーの頃に世界中の海洋プラスチックゴミを除去するアイデアを売り込み、非営利財団「オーシャン・クリーンアップ」を立ち上げました。今ではCEOとして90人を超える組織を束ねています。本稿の筆者アリス・アムンゼンとスラット氏の出会いは2016年、Gardがサマーセミナーに彼を講演者として招いたことがきっかけでした。以来、Gardはオーシャン・クリーンアップを支援し、その活動に注目しています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るう中、メンバーの皆様は多くの困難に直面しており、Gardにもこれまでとは少し違った内容の保険請求が寄せられるようになっています。オペレーション費用に該当するのか、それとも保険でてん補される費用なのかを見極めることは決して簡単ではありません。そこで今回は、てん補に必要な条件と、請求書類の準備をスムーズに進めるための方法をまとめました。
2020年最後のInsightでは、Senior Loss Prevention ExecutiveであるJarle Fosenが先週、自律運航を目的に作られた世界初の完全電動式コンテナ船、「Yara Birkeland」号を訪れた際の貴重な模様をお伝えします。明るい話題で1年を締めくくりたいと思います。皆様どうかお体にお気をつけて穏やかな年末年始をお過ごしください。そして、よいお年をお迎えください。
この質問はもはや人ごととして聞き流せるものではありません。最近、コンテナ船で大規模な荷崩れ事故がいくつも発生しているからです。こういった事故は冬場の荒天時に起こりがちですが、今年はもう一つ要因が考えられます。それは、コロナ禍以降の消費財需要の高まりと輸出滞貨に対応するためコンテナ船の満船が続いている点です。
本稿では、貨物積載船が中国沖で現在直面しているような長期滞船が発生した場合に、航海傭船契約と定期傭船契約で発生しうるいくつかの影響について簡単に見ていきたいと思います。
バイオ燃料は、長期的観点で見ると、海運業界の脱炭素化を実現するための最適なソリューションにはならないかもしれません。しかし、脱炭素化に向けたプロセスを加速させる重要な役割を果たす可能性があります。DNV GL(ノルウェー・ドイツ船級協会)は最近の記事の中で、船舶がバイオ燃料やバイオ混合燃料を使用する際に直面する規制上の問題、安全性や運用上の問題をまとめました。
この2年間、Oliver Baileyさんは航海科学や航海術、消防など、一人前の船員になるために必要な多くの科目の知識を深めてきました。ところが、そんな彼も海上で足止めを食らってしまいました。
ボーキサイト貨物を液状化の可能性の有無によってIMSBCコード上で区別する必要が生じた結果、新たにボーキサイト粉の貨物スケジュールが作成されました。
2021年は、船舶の安全管理システムにサイバーリスクへの対応要件が盛り込まれ、海運業界にとって新たなサイバー時代の幕開けとなる年です。しかしこれは今年施行される数々の規制の1つにすぎません。本稿では、2021年に施行される重要な多くの国際規制に加え、船舶リサイクルや大気排出などの環境問題に関する主要な国内規制の変更点をいくつか簡単にご紹介します。
米司法省(DOJ)は、米国の港に寄港する外国籍船舶について、MARPOL条約に違反している船主と運航者の起訴を積極的に行っています。これらの起訴は、コーストガードによる初期検査と捜査の結果として行われることが少なくありません。本稿の筆者二名は、民間セクターに移る前に、弁護士としてコーストガードに勤務していました。本稿では、コーストガードの検査官と捜査官が取り調べを行っている間の船主と乗組員の権利と責任について筆者の考えをお伝えします。
船舶は世界の貨物の90%を世界各地に運んでいます。そのため、密輸犯が密輸品を市場に運ぶ手段として商船を選択するのは当然と言えるかもしれません。麻薬をばら積み貨物や船舶のボイドスペース、コンテナの中に隠し、または船体外板に取り付けて輸送することは、何年も前から問題となっており、船舶の運航に支障をきたし続けています。今回のInsightでは、ゲスト執筆者が、シーチェスト等に隠されていた麻薬が見つかったために船舶が遅延したり拘束されたりした場合の船主と傭船者の法的な立場について解説します。
Gardはこれまで、新天地を求める密航者が船舶のラダートランクに潜んでいた事例をいくつも見てきました。ラダートランクという場所は、溺れる危険性が高い上に、良い結果につながる保証はありません。今回は、最近起きたCHAMPION PULA号の事例を検証し、それを基に密航者問題全般について考えてみたいと思います。
「Not always afloat but safely aground(常に海上浮揚の状態ではないが安全に着底できる)」(NAABSA)という文言は、干潮時に船体を損傷させずに船が着底できるような海底を持つ港を表現するのに使われます。ただ、そのような港に寄港する際は、船体の損傷や荷役の遅延を避けるためのみならず、船主と用船者の取引関係をこじらせないようにするためにも注意を払う必要があります。
国連の世界糖尿病デーに関連する形で、Gardは、糖尿病のリスクについて、また新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴うリスクの高まりについて、読者の皆様、特に船員の皆様に理解を深めていただく取り組みに参加しています。ここでは、リスクを極力抑え、命を守り、海上での安全を確保するためにできることをご紹介します。
先日のGard主催のウェビナーでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大流行するさなかでの船員交代という現在進行形の難題をテーマに、船員の健康面から見た問題のほか、交代を理由に離路せざるをえなくなった船主と用船者の間で起こる契約上の問題について、登壇者たちが意見を交わしました。本稿では、ウェビナー中に寄せられたいくつかの質問について詳しくご紹介します。
補償状(LOI)は、印刷・署名せずとも有効に当事者を拘束することができます。取引によっては、傭船者がEメールでLOIを発動できることとする条項を傭船契約に含めることが一般的になっています。こうすることで時間と事務処理の手間を省くことができますが、こういった条項やそれに基づくLOIの発動については、相応の配慮と注意が必要です。
コンテナ船火災の問題に対しては重要な対応策が講じられつつありますが、Gardの推定では、2020年に入ってこれまで、2週間に1度の頻度でコンテナ貨物関連の火災が発生しています。
ARPOL条約2020による硫黄分上限規制が施行されるにあたり、多くの予想が立てられましたが、その中で低硫黄重油(VLSFO)への移行が順調に進むとしたものは皆無でした。Gardの経験から見ても、多くの人が予想したより移行は順調に進んでいます。とはいえ、問題がないわけではありません。
甲板上に段積みされたコンテナが崩れた場合、乗組員や船の安全性、そして環境にとって重大な危険となります。荷崩れが発生してコンテナが海上に落下する事例数は増え続け、頻度も高まり深刻さも増していることから、海運業界と保険会社はここ数年大きな損失を被ってきました。
Gardのロンドンオフィスに勤務する弁護士Kelly Waglandが20年以上前に取り扱った事案が、この度、最終決着を迎えました。本稿では、The Chairman, Board of Trustees, Cochin v. M/s Arebee Star Maritime Agencies Private Ltd. & Ors事件(以下「Arebee事件」)に関するインド最高裁判所の判決について考察します。この判決は、インドに配船している定期船運航会社にとって、非常に前向きな進展といえます。なお、この情報は、法律事務所Bose & Mitra & CoのAmitava Majumdar弁護士、Damayanti Sen弁護士、Tripti Sharma弁護士からお寄せいただきました。