Published 05 February 2025
1. 国際P&Iグループ(IG)は、2025年2月20日より、電子商取引システムが以下の要件を満たしている場合、承認を受けたものとみなします。
i) 当該システムが、法律に準拠する(電子船荷証券を紙の船荷証券と同等と認めるとする法律が適用されている)電子船荷証券のみの使用を認めている、かつ、
ii) 当該システムに信頼性があり、そのことが証明されている(詳細は、以下7 ii)に記載)。
2. 今後は、IGにシステムの承認を申請し上記の要件を満たしていたシステムプロバイダーが、IGのWebサイトに掲載されるようになります。これは、以下8)に書かれているIGによる現行の承認手続きを完了したシステム、承認を受けたものとみなされた(「みなし承認」)システムの両方に適用されます。すべてのシステムプロバイダーに対する今後の承認手続きの詳細については、後述します。
背景
3. クラブルールでは、電子商取引システムを用いた積荷運送に関連して生じた責任は、IGが既に承認しているシステムである場合に限り、てん補対象としています。以前は電子船荷証券を認める法律が少なかったため、電子商取引システムがてん補に支障をきたさないよう、IGがシステムの承認を行ってきました。2010年2月20日から現在まで、13のシステムを承認しています。
4. 分散型台帳技術などの新たな技術の登場や、新たな法律の制定により、電子船荷証券システムの開発が進んでいます。例えば、2023年9月には英国で、電子船荷証券をはじめとする電子取引文書を法的に認める電子取引文書法(英国電子取引文書法)が施行されました。同法は、2018年に国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)で採択された統一モデル法である電子的移転可能記録モデル法(MLETR)の要件を満たしています。他の国においても、同様の法律が採択済み、または採択予定です。国際商業会議所デジタル標準化イニシアチブ(ICC DSI)は、各国の法整備の最新情報をこちらで提供しています。
5. こうした状況を踏まえ、IGは2023年に方針を見直し、紙の船荷証券と同等の効力を認める法律が適用される電子船荷証券のみを使用するシステムに対して、効率的な承認手続きを導入しました。また、それと同時に「よくある質問集」も公開しました。
法改正の影響
6. 英国電子取引文書法では、電子船荷証券の有効性の前提条件としてシステムの信頼性を挙げており、信頼性テストを定めています。これは厳密に言えば法的テストですが、実際には技術的なものであり、システムの技術が信頼性に関する一定の要件を満たしていれば、法的要件も満たしたことになります。同法の施行以来、業界団体は、すべての利害関係者のために信頼性の基準と共通基準を確立するべく、業界基準の見直しを進めています。ICCデジタル標準化イニシアチブは、デジタル取引信頼性評価ツールを発表しました。現時点で、他に発表されている同様のイニシアチブは確認されていません。
7. 法律、業界、技術のこうした発展を受け、IGはこのたび、承認方法のさらなる見直しを行うことにしました。2025年2月20日より、以下の基準を満たすシステムは、承認を受けたものとみなされます。
i) 当該システムが、法律に準拠する(電子船荷証券を紙の船荷証券と同等と認めるとする法律が適用されている)電子船荷証券のみの使用を認めている、かつ、
ii) 当該システムに信頼性があり、そのことが以下のいずれかにより証明されている。
独立機関による監査、または、
監督・規制・認定機関または該当する任意スキームによる宣言、または、
該当する業界基準
これに伴うてん補対象の変更の詳細については、加入クラブのルールをご参照ください。なお、本通知の内容との齟齬がある場合は、クラブルールが優先します。
8. 上記みなし承認の要件を満たさないシステムについては、別途通知があるまでは、現行の承認手続きが引き続き適用されます。システムプロバイダーにおかれましては、IG事務局(secretariat@internationalgroup.org.uk)に連絡し、こちらで要件をご確認ください。
2025年2月20日以降の承認手続き
9. 承認済みのシステムを確認しやすくするため、2025年2月20日より、IGにシステムの承認申請を行い、承認要件を満たしていたシステムプロバイダーは、IGのWebサイトに掲載されるようになります。これまでは、システムの承認を通知するサーキュラーを毎回発行していましたが、今後は発行されなくなります。
みなし承認の要件を満たしており、IGのWebサイトへ自社システムの掲載をご希望のシステムプロバイダーは、要件を満たしていることを示す証明書を添えてIG事務局までご連絡ください。
10. 現行の承認手続きを既に完了したシステム、および今後完了するシステムもすべて、IGのWebサイトに掲載されます。
既に承認されているシステムプロバイダー
11. なお、これまでにIGが承認したシステムプロバイダーの立場に変更はありません。
保険カバーに関する注意事項
12. 最後に、クラブのルールでてん補対象外とされてきたその他の事項は、船荷証券が紙の形式で発行されたか、承認された電子船荷証券プロバイダーを通じて発行されたかにかかわらず、引き続きてん補対象外となりますのでご注意ください。これらのてん補対象外の例としては、運送契約に定められた港湾または場所以外での貨物の荷揚げ、日付を繰り上げた、もしくは繰り下げた電子文書/記録の発行・作成、従価船荷証券に基づく責任、ヘーグ・ヴィスビー・ルールより不利な運送条件により生じる責任(ただし、強制的に適用される場合を除く)、流通可能な電子文書/記録の提示なしでの貨物の引渡し(承認済み電子商取引システムの場合は、当該商取引システムのルールに準拠していない積荷の引渡し)などが挙げられます。
13. 国際P&Iグループに加入するすべてのクラブが同様のサーキュラーを発行しています。
ご質問がありましたら、ガードジャパン株式会社までお問い合わせください。
敬具 GARD AS
Rolf Thore Roppestad
CEO(最高経営責任者)